きみのそら ぼくのそら

姉との生活の様子を綴ります

奈津川さんとのクリスマス:1

「四衣菜:明日予定空いてる?」

何かのドッキリだと思った。クラスメイトの奈津川さんは元気溌剌・才色兼備の女の子。誰に対しても分け隔てなく接する彼女は友達のいない僕にとって砂漠のオアシスのような存在だ。しかし、いくら社交的な奈津川さんでもこの僕を、それもクリスマスイヴに誘うことなんてあるのだろうか…。

「一応、時間はあるよ」

「予定が無い」と答えるのは有って無いようなプライドが許さなかったので、こんな言い方になった。返信を今か今かと待った。何を着ていこうとか、どんな話をしようとか、確定したわけでもないのに奈津川さんと会ってからのことを考えてしまう。ほんの十分程度がとても長く感じられた。

「じゃ、五味売ランド行こ!!」

メッセージアプリに張り付いていたので、受信して間もなく既読をつけてしまった。何かのドッキリではないか、という疑念はとっくに忘れ去り、僕は奈津川さんの誘いを了承した。